大阪・関西万博で「対話者」としての活動を振り返って

シグネチャーパビリオン「Dialogue Theater -いのちのあかし-」。
河瀨直美監督がプロデュースするこの企画は、「対話」を通じて、世界の至るところにある“分断”を明らかにし、その解決を試みる実験場でした。

「対話」をあらゆる角度から捉え、介護の現場をより良くしたいと考えている私にとって、まさに心に響く活動でした。
オーディションを経て、ワークショップに参加し、本番で育成対話者として登壇する貴重な経験をさせて頂きました。

その日のテーマをどう捉え、どのように対話を温めていくかは、対話者一人ひとりに委ねられています。
私は仕事柄、人の生死に立ち会い、苦悩や憤りに向き合う日々を送っています。人が生きる上での本質的な問いに出会い、自分の心の奥に気づく瞬間——そこに、新たな景色”幸”が広がる可能性を感じました。

人は分かり合えないからこそ、分かり合おうとする。
それを諦めないからこそ、真意の接点が見えてくる。
生きていることの尊さを実感できた時、争いの愚かさに気づく。

論文でも言及しましたが、改めて、医療や介護の現場には「対話」が中心にあるべきだと痛感しました。
この経験を仕事に活かし介護の現場をより良くしていくことこそが、万博活動に参加させて頂いた恩返しになると思っています。
最後に、パビリオン関係者の皆様に心より感謝申し上げます。

写真は、万博最終日、卒業式と打ち上げシーンです。

論文掲載の報告 人間関係の研修こそ必要です

日本ビジネス•マネジメント学会の学会誌に論文掲載頂きました。

タイトル
「Appreciative Inquiryを活用した介護リーダー研修 -意識・行動変容の促進と関係性の構築-」

介護現場において、離職の原因の第一が人間関係であるにも関わらず、そこを本質的に改善する着眼点が薄い事が疑問でした。

例えば研修、厚労省指定の必須項目だけで終えている事業所が多い中、これで本当に、事業所が望む姿に近づくのでしょうか?

そんな中、私が着眼したのは、真に関係性を構築し、相互理解が進む介護現場を作る必要性です。
日頃コンサルタントとして、制服を着て現場にはいります。
現場をラウンドし、会議に出席し、個人面談を実施し、経営者を含め、今ある課題を共有し解決していきます。
そんな中、退職を打ち明けてくれる相談は、ほぼ人間関係です。事業所が介入し、退職を一時的に思い留まっても、結局その時を迎えます。

関係性には意味があり、本質的に捉え合わなければ、現場の改善は望めない、そんな思いで取り組んでおり、私のコンサルティングの特徴でもあります。

執筆にあたり、ご協力、ご教授頂いた皆様に、心より感謝申し上げます。