RIFA 2004年9月号 栗東国際交流協会 海外レポート② イギリス編

イギリスの夏、ロンドンといえば、街中のアパートの窓辺から吊り下げられた美しく咲き誇る花々を想像しませんか?

確かにプライベート病院や高級アパート、パブなどの軒先にはマーガレット、ベゴニア、ゼラニュームなど色とりどりにデコレーションされています。

ところが、個々のアパートの窓辺には期待していたほどの花は見かけられず、ガーデニングが大好きな私にとって、「自分のイギリス観」が少し変わった瞬間でした。

物価は日本の約2倍!貯金が頼みの綱である私にとっては、住み心地が良いとは言いがたく、理想とは程遠い現実を目の当たりにしています。

そんな頃、なんとあの憧れのウインブルドンのチケットが手に入ったではありませんか!

しかもここロンドンでもなかなか手に入らないセンターコート。

’01年優勝者ゴラン・イワニセビッチ(クロアチア)の引退試合で、’02年優勝者レイトン・ヒュ-イット(豪)との新旧のスター対決でした。

センターコートでみる「本物」は、拍手が縁傘にこだまし、打球がきれていく様子、一球ごとの観客の声援と、サーブ前には誰もが沈黙するマナーや名物のシャンペンとストロベリー(生いちご)のほのかな香りなど、映像では伝わってこない躍動感が堪能できました。

別件では、日本でも人気沸騰中のジェイミー・カラム(英)、ジャズシンガーでピアニストである彼のコンサートに行けたことも私にとってのプレミアものでした。

高い知名度からは程遠い小規模なコンサート会場で、彼独特のステージに引き込まれた2時間半はあっと言う間でした。

グランドピアノの上に立ち上がるなど型破りなエンターテインメントや若い外見からは想像しがたい味のある渋い声を通し、ステージと観客との一体感に私のみならず誰もが酔いしれずにはいられません。

数々の歴史建造物やミュージアム、イギリスガーデンを楽しむはもとより、ミュージカルをはじめ「本物」に触れる悦びが体感できます。

アンテイーク家具などで代表されるイギリスは格調高き昔を思わせる一方、世界を代表する文化が共存する魅惑の国だと言えるでしょう。