テーマ2 パパの介護

【第12回 待っててくれてありがとう】

妹、父、私

新幹線に乗っている間に、妹が昨夜の痛みの様子を知らせてくれました。
「昨夜は1度大きな痛みが出たかな」
「寝返りを結構繰り返すので、だるいようなしんどいような感じかな」

9:00台
「パパが昨日の仕事の話をどこからどこまでしたか、お姉ちゃんと確認したいって」
妹が中継してくれ、電話で父と話します。
「大丈夫、昨日全て手配してくれたよ」

しばらくすると「もう一回確認したいって」
秒単位で私の行動が知りたい様子です。

「いつもの自分とは違うくらいくどいけど、神経質になってるから」
と父が言うそうです。

「今日の予定を分かるだけ知っておきたいらしい」
「さっきより意識がしっかりしてきている」
私が今日の予定をメールですると、妹が父へ伝えてくれます。

10:00台
妹より
シャンプーして身支度整え終えたところに丁度、〇〇先生が訪室。
その後、新聞を買って読んでいたところに看護師さん訪室。

父は、〇〇先生に自分の予定を質問したそうです。
「今日までか、明日までか?」

〇〇先生が答えてくれます。
「今日かもしれないし、明日かもしれないと。痛みは取り除くようにしますねと」

あきらかに私を待ってくれています。
同時に、明日までもたないと判断した私は、仕事のスケジュールを変更しました。

この時の状態
早朝体温は37.5度が36.5度に落ち着き、血圧は118/ が135/で降圧剤続行。
喉が渇き、痰の粘稠度も強いので点滴の生食を増量。

13:00台
父は少し眠ったあと、妹が口腔をスポンジと歯磨き粉で洗い、本人がうがいをしました。
声をかけてみたが、アイスはいらないとのことでした。
痛みがきたので、痛み止めをショット。

16:00台
「あれから大きな痛みはなくて、エアマットへ交換し、水飲み⇒吐き⇒口を洗いを繰り返しながら、夕刊を買ってきて欲しいと頼まれたところ」
「私からのメッセージ(夕方4時には出発して大阪へ戻るのは7時)はこうやったなと、ハッキリ記憶しているよ」

「今、何時や?4時か?じゃ話せるな」
時間を何度も確認していたそうです。

17:00
痛み止めをショット

17:30
痛み止めをショット
「まだ痛そうで、看護師の方がセデーション(鎮静)の準備をしにいってくれた」
「太ももの皮下から打つのでそんなにドローっとはなりにくいと」

18:00
「セデーションが今始まった、意識は、しっかりしているよ」

セデーションとは、鎮静剤や鎮痛剤を使用して、意識レベルや痛みの感じ具合を低下させる処置をいいます。
死に至るまで持続的に意識レベルを下げ、死に伴う痛みや苦痛を避けていきます。
持続点滴としてミダゾラムが開始されました。

18:30
「今、起こしておくために清拭してあげてる」
「ちゃんと起こしているよ」

妹が中継してくれるので、落ち着いて向かえます。

19:00
病室へ到着
「パパ、ただいま」

「お~、戻ってきたか、仕事はちゃんとやったか」

「うん、終えて帰ってきたよ」
「今晩は泊まるね、明日も一緒にるよ」

「そっかぁ、ご苦労」
そう言った父の顔が、とても安心した表情になりました。
父として、娘を待つ最期の踏ん張りを見せてくれたのです。

【続き 第13回 充実した最期の時間】