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2016・9・15 ダイジェスト版 レクリエーション介護士の日記念イベント
基調講演「レクリエーションの未来」 ~私は何をしたらいいのか~
ただいま父の入浴介助中。
父の入浴は、浴室まで移動し椅子に座ると、後は自分で身体を洗います。
その間15分ほどの時間ですが、私はというと、バルーン内の尿を破棄し、適当に掃除機をかけたり、晩御飯を食べたり(途中まで)と時間を無駄にはしません。
テレビや家族との会話に夢中になっていると、聞こえてくるのです。
「も〜え〜で〜」
ふと、この父が発する「も〜え〜で〜」の一定の声が可愛いいなと思えるのです。
それに気づいたのは、私自身が、無意識に浴室に向かいながら「も〜え〜で〜」と口ずさんでいるからです。
なんだろう、私にとってのアルファ波でしょうか。
大変と断定せずに、拠り所にしてみると、見えてくる世界が違ってくるのです。
現在私の置かれている立場は、父の介護に続き、もっか母が医療を必要としている段階になりました。
改めて自分の気持ちを、自分なりに見つめてみました。
こんな状況でも、”今が1番”だと思っている私の拠り所に、私自身が支えられてる気がするのです。
大変には種類があるのかもしれません。
①”世間で言う大変”もあれば、②”自分を感じとれる、自分を気づかせてくれる大変”まで幅広いのです。
どちらも存在します。
ただこれは、単に一律にグラデーションになっている訳ではないようです(①が濃くて②が薄いなど)
私の感覚では、それは面の状態で、どこをポイントにするかで、グラデーションの層が変わってくるのです。
私の場合は、「やってみよう」とか「やってあげよ」と思ってる濃さから、グラデーション層が始まるのです。
もちろんグラデーションの先には、”ザ・大変”も山のようにあります。
誰もが迎える可能性のある介護です。
介護をする際に大切なことは、ご自分を大切に、かつご自分が大切にしたいものを大切になさってもらえたらと思います。
ご自分の生活を守ること、この軸がブレることはありません。
その上で、ご自分が守りたいもの(介護の対象となった方への思いや愛情)を大切にするにはどうすべきか。
それぞれの事情を補うために、施設サービスや在宅サービスが存在するのです。
普段サービスを提供する側の私ですが、改めてサービスを使わせて頂きとても助かっています。
私が大切にしたいと思っていることを、私に守らせてくれる、それを応援してくださる介護事業所の存在だからです。
つくづく、介護サービスを受けるのは、単に介護を自分の代わりにやってくれるという役割分担の存在だけではないと感じます。
それぞれの家族が抱く、相手を慮るこころや愛情が、ありのまま続くことを応援してくれているのです。
父の入浴介助の際に、ふと右足ふくらはぎに、百円玉ほどの水泡が出来ています。
「パパ、これどうしたの」
「わからない」
「痛くない?」
「痛くない」
摩擦か?それにしてもこんな風になるのかな?
疑問に思いつつ、入浴介助し、出るころには水泡が破れていました。
とりあえず、アズノール+水をはじくシールを貼って応急処置。
下半身不髄の父の足は、部位によって、触感や痛覚の度合いがさまざまです。
例えば、足先などは圧痛はあるようですが、傷ができてもその痛みはありません。
今回は、痛みのない部類です。
よくよく聞くと、洗面所で使用する足元暖房機が原因のようです。
足がグネっと曲がり、気づかない間に暖房機と接触していた可能性が高いというのです。
「あらま」
確かに、そうなるとやっかいです。
低温火傷は、軽傷に見えて、しっかり深い火傷も多いからです。
知り合いの医師に相談したところ、現状感染は起こっていない状況とのことでした。
泡で洗浄し、ゲンタシン軟膏やワセリンなどをたっぷり使用して、1日2回ほどガーゼ交換が望ましいとのことでした。
深度はやや深め傾向とのことで、回復の状況を見て、やけど専用の創傷被覆材(ハイドロコロイド被覆材など)の治療法も提案いただきました。
ふと、規制緩和でオンライン診療が普及すれば、今回のような迅速な対応と安心が得られるなだろうなと思います。
父は現在、看多機のお世話になっております。
月曜日から土曜日まで、午前中は訪問、デイサービスを交互に利用しております。
どの場面でも必要なら看護師さんと接点が可能です。
そのため、今回のケースのように、しばらく可能な範囲での1日2回のガーゼ交換も可能です。
午前中に看護師さん、夜は私が実施できます。
事前に購入した、衛生材料を預けておくと、訪問のみならず事業所内でも実施して下さいます。
突然必要となる看護ケアですが、それが最小限の調整で実現できる環境が看多機です。
この状況は、当たり前ではなくありがたいことです。
ユーザーだからこそ感じられます。
ふと、父に聞いてみました。
「パパ、最近は夢を見るの?ほら、言ってたでしょう、急に立って歩き出す夢の話」
「ん?・・・あ〜あれな、いや最近は見なくなったな」
父は、手術の影響で下半身不髄となり要介護4の生活が始まって早3年が経過します。
当初は、頻回に目が醒めるたら急に歩けるようなっていた、そんな夢を話してくれていました。
「不思議なんや、ホンマに歩けるようになったんかと思った」
意識と現実にギャップがあり、目が醒めると現実は現実です。
「どんな気持ち?」
「そうやな、また歩けたんかと思って嬉しかったわ」
「そっか・・・」
おれから、2年ほどが経過し、そおいえばと思い聞いてみました。
「あの夢は良かったな〜、実に良い夢だった」
夢に対し、落ち込む自分ではなく、良かったという感覚の方が残っているようです。
現実の自分を認めつつも、意識の中の自分の体感に喜びを見出す父がいます。
本日は父の受診を設定しました。
通常は、3ヶ月ごとに本人と一緒に受診し、途中はお薬をもらうだけの月もあります。
今月はお薬だけの予定でしたが、父親の貧血が気になったからです。
「最近フラフラする」
「歩こうとしても腕に力が入らない」
「下瞼は真っ白」
症状と血液検査の結果(ヘモグロビンが低い)で、貧血治療の内服薬が処方されました。
先生のアドバイス
「飲むとキワキワするかもしれません、気持ち悪いようなら無理せずに見送ってください」
(その後、これと言った症状はなく飲み続けています)
とにもかくにも、先生に感謝です。
何かが起こることは仕方がないので、その時の対応に後悔がないようにしていきたいものです。
さて、病院を出たのが15時過ぎ。
今から囲碁に行くには、時間が十分ではありません(1時間以上かかる)。
一方、病院は私の事務所(大阪本町)の近くです。
要するに、病院は実家から車で1時間ほどの距離にあります。
父の循環器系疾患を幾度も救ってくださり、父が心から信頼する先生や病院とあって通い続けています。
「パパ、もう囲碁はいけないね」
「そうやな、仕方ないな」
「じゃあ、私の事務所で寝ててよ」
「私、ちょっと仕事したいのね」
私の事務所には、長ソファーがあります。
父が、身体を横にして休むのに丁度良いなと思いました。
タオルケットをかけてしばしお休みです。
私の足マッサージ機も心地よかったようで、すやすやと眠ってしまいました。
その間結構仕事ができました。
寝顔を見て、思わず笑えました。
コンサル先では、夏休みを迎えた子どもの居場所をコーディネートすることがあります。
職場に子どもを連れ仕事ができる環境設定などは、働きやすい職場づくりの一環です。
「ふと、これって親連れ出勤?!」
人それぞれの工夫があるものだと実感しました。
19時過ぎ、仕事も一段落です。
「さて、パパこの辺で晩御飯食べて帰ろうかね」
私の事務所は、大阪のビジネス街のど真ん中に位置します。
散歩がてら、車椅子でグルグルと歩いてまわりました。
条件は一つ、車椅子で入れるところです。
色々なお店がありますが、段差や狭さなどが目につきます。
「なるのどな〜」
ユーザー目線という、新たな視点が加わります。
店へ入り、車椅子から椅子へ移りホッと一息。
生ビールが美味しいと満面な笑顔を浮かべる父。
時々家族で外食しますが、久しぶりのビジネス街での外食は、父にとっても懐かしい時間に思えたのでしょう、待った甲斐があったようです。
周りのテーブルは、スーツを着たサラリーマンの方々ばかり。
私たち親子とのコントラストも面白い点です。
帰りの車の中、行き交う通行人を見て父が一言。
「ものすごい人やな、経済が戻ってきたのを実感するわ」
私には当たり前の風景でも、父には沢山の気づきがあったようです。
いわゆる私のビジネスの思考やアイデアを補ってくれる父がいます。