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2016・9・15 ダイジェスト版 レクリエーション介護士の日記念イベント
基調講演「レクリエーションの未来」 ~私は何をしたらいいのか~
父の入浴介助を終え新聞を斜め読みしている私と、一息ついた父へさりげなく話しかけている母。
「今夜この番組を観ようと思うの」。
2024年4月26日夜10:30~ NHK番組「時をかけるテレビ あと数か月の日々を~物理学者・戸塚洋二がんをみつめる~」、ノーベル賞候補と言われながら2008年がんで亡くなった、戸塚洋二氏の最期まで科学者であり続けた生きざまである。
「この人凄いのよ、自らの病についてのデータを集めたりね、頭の中に浮かんだ妄想を語ったりね」
番組内容を読み上げる母に対し、新聞を読みながら半分だけ聞いてる私。
「がんが進んだらどうなっていくんだろうって思うの」「なんか観てみたいなって」
「ふ~ん、何時から」
合図地を打ちつつも、双方違う行動をしながらの会話です。
母は一月前突然に、悪性黒色腫(メラノーマ)と診断を受けたばかりです。
胃、肺、筋肉内、複数カ所に転移が認められています。
メラノーマは、進行しやすく治療方法も限られる疾患です。
振り返ると、がんの告知後この1ヶ月間、母は怒涛のごとく行動していました。
「自分が動ける間に」
この言葉を何度も口にして、財産整理、遺言作成、もう一度会いたい知人・友人を訪ね鳥取や名古屋へと訪問。
「動いている間だけ忘れられるの、夜は全く寝れてない」
まさに今の母が置かれている境地です。
5日前、第一回目の化学療法(オプシーボ点滴)の治療を終えたばかりです。
その副作用は2週間後くらいに出てくるかもと言われ、今その恐怖を抱えています。
「今元気なのに、治療してしんどくなって、動けなくなるなら、意味がないやん、嫌やな」
「そうだね」
私としてもこればかりは、その時が来ないと何とも言えません。
母親の副作用が出ないで欲しいと願う気持ちとシンクロするのです。
好奇心旺盛で、学ぶこと、動くことが好きな母です。
今でも英語を習い、パソコンを使い、プールへ泳ぎにいきます。
TV番組も料理番組、ドラマ、ドキュメンタリィーと、あらゆるジャンルを録画して、時間を作っては一人で楽しんでいます。
番組が始まりました。
普段なら自宅へ帰ってしまう私ですが、なぜか母の横に座っています。
「このコーヒー美味しいわ」
「お菓子あるで」
「食べたい」・・・・
番組終了後に残った気持ちは、ひとそれぞれの最期があるのだということ。
誰もが一度だけ体験する”その時”です。
今回は、研究者戸塚氏の”その時”を共有した時間でした。
「そろそろ帰るわ」
私が玄関を出ようとした時の母の一言。
「今日は一緒に観てくれてありがとね」
母の中に、新たに生じる気持ちがあったのだと思います。
一人で観ていたら、その意味づけも異なっていたでしょう。
「私がいるから大丈夫」
母をハグして帰宅の途につきました。
初回治療については、アナフィラキシーショックを考えて2日ほど入院をお勧めします。
その言葉を聞いて、母は、3日入院を選択しました。
入院前の血液検査で異常なし、予定通りの入院です。
「副作用は次の日くらいから出てくるものでしょうか?」
「いえ、この入院は初回投与のショックに備えるものであり、副作用の対策ではありませんよ」
「副作用が出るとしたら、薬が効き始める2週間ほど後になります」
確かに効果のプロセスを考えるとその通りです。
この場合の副作用は、自己免疫の効果を期待して、その効果が過ぎた時に起こる反応です。
そこまで深く考えておらず、母は気が抜けたようでした。
入院してしまうと、面会者は2名15分限定です。
特殊な治療をされている方々のエリアであり万全の体制です。
とりあえず昼から再度面会してから帰ることにしました。
ドトールのコーヒーを差し入れ、様子を確認しました。
薬剤師が薬の説明に来られ、今から治療に入るそうです。
(口腔ケアは入院前に確認済み)
エレベーター前で手を振る母が、とても小さくかわいく見えました。
あのニコニコ、結構いろいろな人を癒しているんだろうなと思いつつ、エレベーターが閉まりました。
夕方、主治医の先生から電話を頂きました。
「無事に治療を終えて、ショック反応もなく経過をしています」
退院を1日早くしたいとのことで許可を出してくださったそうです。
途中報告のお電話を頂き、丁寧な対応にありがたいばかりです。
ついでに先生へ質問させて頂きました。
「例えば旅行などを企画する場合、副作用の時期を避けたいのですが、アドバイスをいただきたい」
「副作用はそれぞれで、出現したら1週間とか続く場合もあります」
「出ないかもしれません」
「一つ言えることは、スケジュールは気にせずに立ててください」
「そのための治療です、お母さんが楽しむ時間を長くするための治療です」
「何かの時は、その時々で対応していきましょう」
心強いエールを頂けたようです。
そうね、考えても仕方がないわ。
********母が病院から送ってきたメール(現在の気持ち9********
点滴終わりました
今は無症状、何時も通り、病室では丁寧なこと立ち代わりそれぞれスタッフの気遣い凄いよ
朝も普通、無症状です
朝食はパン、完食
オプジーボ、悪性黒色腫、がん免疫療法
この薬は、身体に作用するのに2~3w後らしくその頃に出るらしいそうです
それを切らさない為に4w毎にずっと続けるそうです
自分はまったく分からないのでどんな自覚症状が出るのか
それが副作用なのか分からないので先が心配です
何時も気にかけてくれて気持ちの支えになっています
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そういえば、母は、自分がメラノーマだと知る随分前から、生きることの意味を考えていました。
私にこのドラマ参考になると、わざわざビデオを撮って見せてくれました。
2023年度NHK【土曜ドラマ】お別れホスピタル
高齢化が進行し、癌が国民病と化した現在の日本。
7割以上の人が病院で最期を迎える。
そんな病院の中でも 、 末期がんなど重度の医療ケアが必要な人や、在宅の望めない人を受け入れる療養病棟。
そこはまさに医療のセーフティーネット。
その最前線に立つ看護師は、 意思表示の難しい患者さんのわずかな変化も見逃さず、 そこでの 日々が最善であるよう努める。
ただ 苦痛を取り除くだけでなく、その人らしい「 限りある生のかたち 」 を求めて日々奮闘する。
そして、訪れた最期から、その人なりに「生き切った命」を見届ける証人となる。
患者さんや、その家族、そして彼らと関わる医師や看護師の、葛藤や、怒りや、悲しみや、小さな喜びや、笑顔や、素顔の先にあるドラマを通して、「死を迎える」ことと、「生きる」ことの意味を問いかける。
それは、私たちの未来への一筋の光につながっていくはず。「お別れホスピタル」それは一死の一番そばにある病院で繰り広げられる、壮絶で、けれど愛にあふれた人間ドラマ。
随分、古い新聞記事もあります。
すべて、死生観、看取り、に関する切り抜きです。
*2020年4月22日読売新聞:ACP(人生会議)を考える〜延命か尊厳か日米で意識差
*2023年2月8日読売新聞:死と生を見つめて〜緩和ケア家で尊厳ある死〜
*2024年3月30日読売新聞:死と生を見つめて〜故人との「継続する絆」
*2024年3月28日読売新聞:死と生を見つめて〜葬儀で感じた「つながり」
これらのドラマや記事に共通することこそが、母の伝えたい事なのだろうと思います。
ある日母がふと、ターミナルって何?と聞いてきました。
当然ですが、沢山の記事を読んでいる母です。
一般的なターミナルケアについては知っているはずです。
それでも質問してきた理由は、おそらく私が捉えるターミナルケアを知りたかったのだと思います。
それはまさに、母自身のターミナルケアを示唆するからです。
「ターミナルケアってね、ある一定の状態になると、もう病院に運ばないの」
「ほら、近所の〇〇さんの時も私が調整に入ったでしょう、今でも最期が迎えられて良かったって言ってくれてるよね」
「看取りの状態は、身体のあらゆる機能が自然に閉じようとしている段階なの」
「だから熱が出たからといって、以前のように病院へ搬送しないの」
「もう治す段階ではなく、苦しさやしんどさを取り除いてあげるの」
「病院に運ばれると、どうしても治すための関わりが必要になってくるでしょう」
「そこに新たな苦痛が伴っても治るなら意味があるけどね」
「そうではない段階に入っているのがターミナルケア、要するに在宅の先生、看護師さんや家族で看れる範囲で見守る段階」
「ママの場合は、ペインコントロールが出来る先生を見つけるよ」
「要は麻薬が使える先生で、それに慣れた先生だね」
「そんなこと自宅でできるの?」
「できるよ」
「自宅で孫が出入りしながらね、そんなイメージかな」
「苦しまない?」
「しんどいのは嫌、もう意識が無くなってもいいから、眠らせてくれる?」
「分かってるよ」
「私に任せておけばいいよ」
母の表情が、何となくホっとしたように見えたのは、気のせいでしょうか。
診察に呼ばれ立ち上がり、母の前後に私たちが囲むように歩いていきます。
「死刑台に上る気分やわ」
まさに今の母の受け止めです。
何もかも真っ暗にしか見えない、諦めの心境なのだと思います。
私はというと、多臓器に転移していなければいいなと考えていたのです。
下痢の症状があったので、大腸が気になっていました。
今後の治療や予後に影響してくるからです。
自分に言い聞かせながら頭で考える私と、こころで感じる母。
母のように、気持ちに余裕のない今の状態では、先生の話も入ってこないだろうなと思います。
こんな時、誰かが側にいて、重要な情報を受け止め、質問する役割の人がいるべきだと思いました。
PET結果は、胃、肺、臀部皮下にメラノーマの多発再発の疑いとのことです。
一方、20年前の足のメラノーマ部分の再発、それに伴うリンパ節などの再発はないそうです。
ただ長い時間をかけた、血行性転移だろうとのことです。
最悪な結果には変わりはありません。
しかし、臀部皮下への転移はあるが、大腸に比べたら良かったと思えます。
足の再発が無かったということは、がん細胞が20年以上悪さをせずに、私達に時間をくれた訳です。
こんな状況下でも、見えるものがあるなと感じました。
これまでのがん治療は、直接がんを標的にした治療法です。
一方がん免疫療法とは、薬が直接がん細胞を攻撃するのではなく、もともと体内に備わった母自身の「免疫」の力を利用して、がん細胞への攻撃力を高める治療法です。
今回は、後者の治療法でオプシーボによる治療を進められました。
これは手術による治療が難しい患者に認められており、多臓器転移の母に該当します。
以前はメラノーマの治療法が無かったのですが、現在はいくつか認められています。
その一つがオプシーボであり、効果は3割です。
また、同時に遺伝子の型を見極め、ある遺伝子タイプに効く薬もあるとのことです。
こちらは自費検査となり約8万円の費用がかかります。
まずはオプシーボ、1回30分以上かけて点滴を投与し、4週間ごとに投与し続けます。
初回を除いては、外来での治療が可能であり、働きながら受けられる治療法です。
もちろん、副作用が出現する可能性もあります。
間質性肺炎、糖尿病、重症筋無力症など。
それは、自分の臓器に対する過剰免疫反応が起こった時です。
要するに、自分の臓器を自分で攻撃してしまう可能性です。
その兆候を見極める検査をしながら、治療を続けていきます。
後は、その副作用のリスクと治療効果のどちらを取るかです。
母の但し書は「元気な状態での治療効果」です。
しんどくて長生きし、どこにも行けなくなるなら、今の時間を大切にしたいです。
副作用のレベルは、対処療法で改善していく人もいるので何とも言えません。
「まずは予約を取って、考えてみては」
先生の待つ姿勢です。
本人の選択って、本当に大切だと思います。
自分で決めたからこそ、乗り切れるのですから・・・
********母が親戚に送ったメール(現在の気持ち)********
桜が咲きよい季節になりました
実は2月末ごろ風邪気味でなんとなくレントゲンや胃カメラの検査をしました
結果、肺癌の疑いと胃の中も黒い斑点がありメラノーマと言われて何が何か分からない気持ちでした
家族もそれぞれの気持ちで精一杯受け止めています
4月10日(水曜日)ペット検査の結果説明があり、肺や胃袋、お尻の筋肉内など、色々と指摘されました、悪性です
夫のこともあり、覚悟はしていましたが気が遠くなりました
今さら治療はしないと思っていましたが周りの考えや治療の進んでいる説明がありなかなか納得出来ていないのですが、22日(月曜)に入院治療することになりました
夫は囲碁が大好きで午後2時~5時半まで毎日車で送り迎えをしています
その間、買い物や家事が出来て助かります
そんな日時も愛おしく感じられます
今日はその時間久しぶりにプールに行って来ます
今は全く体調は普通です 食欲あり、旅行も海外でも行けそうですよ
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