テーマ3 個人に向けた支援

こんなにも違う?!患者への向き合い方(前編)

信頼できる医師は何処に

私が知人の老夫婦に同行し、とあるクリニック(Aクリニック)へ受診をした時のお話しです。
Aクリニックをインターネットで見つけ、予約をしたのは私です。
現在通院中のB病院から、紹介状とMRIデータをもらった上での計画受診でした。

その理由は、老夫婦の奥様が「今の先生には相談しにくい」そんな思いを抱えていらっしゃったからです。
認知症と分かってから、「もの忘れが外来」+認知症の著書も出されている情報をもとにB病院のB先生に通い始めました。
しかしB先生は、患者の話をきくというより、ご自分の治療方法への拘りが強い先生でした。
「内服薬をちゃんと飲まない人には治療をしても無駄です」
「お宅は奥さんが管理しているからいいけれど・・・」

2年ほど通っていたある日、奥様がつぶやいたのです。
「先生を変えることは難しいの?」
定期的に通院するのが苦痛になってきたそうです。
奥様が困りごとを伝えても、一緒に考えてくれる姿勢は感じられなかったようです。
そこで、別の曜日の別の先生に事情を説明し、紹介状を書いて頂きました。

まさにAクリニックの受診目的は、認知症のご主人を献身的に介護されている奥様が信頼できる医師に巡りあう為でした。

信頼できる医師は何処に

しかし、診察室での医師の発言は、期待とは程遠いものでした。

同行した私が家族では無いことに言及されるのです。
「個人情報の関係があるので、ご家族としては同席してもらってもいいのですか?」

奥様が明確に答えます。
「はい」

その後私が答えます。
「ご高齢なので、上手く症状など表現できない部分は代弁してお伝えしますね」

それに対する返事は期待外れでした。
「私は家族と話をする」
「窓口は一本にして欲しい」
「あんたにするなら委任状が必要だ」
「同席するのは勝手だが家族の情報ではないから」

私が答えます。
「ご家族が横で聞かれており、同意しながらですが問題ですか?」

「法律上の家族でないので」
何を診ようとされているのか、話がズレてくる。

情報の有効性も確認せず交わされる言葉はHow Toばかり。
患者の詳しい情報を得ることより、窓口一本化という主張を強い語気で繰り返されるのです。
何故わざわざ私を同行させているかという“老夫婦の気持ち”には全く関心がない様子でした。

「では、その点了解してもらった上で今から診察を始めます」
先生の視線がカルテ画面へ向き直し、診察を始めようとされるその時です。

「診察をお受けするのは止めておきます」
目的が達成できないと判断しお断りしました。

「それならどうぞ、ただし初診料は頂きますからね!」
残念ながら、これが現実でした。

一番心配だったのは、老夫婦の心情です。
不安を抱え、救って欲しいと願っているにも関わらず、医者への不信は募るばかりです。
「大丈夫ですよ、とりあえず、外へ出ましょう」

会計を済ませ、資料一式を返してもらい、Aクリニックを出た時は、すでに11時を回っていました。

【こんなにも違う?!患者への向き合い方(後編)】