テーマ1 ママの医療
【第40回】母が描いた・母らしい葬儀(後半)
再現7
父の時と同じ、葬儀会社です。
そのため、対応くださるメンバー全員、当時喪主を務めた母を覚えてくださっています。
良くしてもらったと、母がとても満足していたので、そこに依頼したことで目的達成です。
依頼する私も安心感が違います。
一言でいうと、馴染みの関係が、この安心を成立させてくれているように思います。
高齢者施設もそうですが、いざ必要になった時に急遽選ぶのと、日頃から知った場所や関係者がいるのとでは、利用する側の心の敷居の高さが違ってくるのだと思います。
改めて、近所の方が寄ってきたくなるような場作り、情報発信の大切さを痛感します。
実質を超えた時間感覚
実は、今月1月22日は母の誕生日でした。
私自身は、ここにきて様々な手続き書類を、何度も書いているはずですが、ピンときていませんでした。
そんな時に、葬儀の担当者の方が初日の帰り際、今月はお母様の誕生日ですねと、お言葉とお気持ちをくださいました。
確かに!と、通夜で頭がいっぱいだった私たちに、大事な日を思い出せてくれました。
その夜は献杯をしつつ、みんなでその話題に触れることができました。
葬儀といえば、スケジュールに追われがちです。
湯灌後の母のメイクの時間は、1時間15分を要しました。
妹が、こちらから尋ねるまで、湯灌の担当者も葬儀会社の方々も、時間について話題にされなかったことを振り返っていました。
そう言われると、出棺前の最後のお別れの時間もそうでした。
親族だけの時間をいただけたのですが、私の印象では、長い時間特別な空間に身を置けた感覚が残っています。
もちろん、その後火葬の予定時間があるので、タイムリミットはあるはずです。
どちらも、それを感じさせないよう、時間の質がフォーカスされています。
出棺前、母を知ってくださった皆さんが母と父に心の贈り物をくださいました。
一つは阪神タイガースが好きだった父に最新のニュースを備えてくださいました。
確かに、私たちの世界と父のいる世界を繋ぐ唯一の人物は、目の前にいる母です。
そして母が好きな食(そば・とうふ)を思い出させてくださいました。
不思議です。
私も妹も聞かれていませんが正解です。
ここにもきっと、母らしい交流の広がりがあったのだと感じました。
再現8
父の葬儀で、喪主である母から頼まれ私が読み上げた弔辞があります。
それを母は、上手に父親を現しているとよろこんでくれていました。
飾ることなく、私の中の父をそのまま表現しただけです。
今回、母についても同じです。
私の中の母を、言葉で綴り直してみました。
次の第41回に書かせていただきました。
母の感想が聞きたいな・・・ふと思いました。
母は、父の葬儀後も、弔辞の文面をお心を寄せてくださった方々へ送っていました。
今回私も、母の携帯情報の関係者へ、年賀状の住所へと、可能な限り発信・送付をさせていただきました。
すると多くの方々から、生前の母の様子をお知らせくださるメールを頂いたのです。
その文面を一つ一つ読みながら、再度”母らしい母”と出会うことができました。
葬儀という儀式を通して、残された私たちが納得し、今後も歩み続けられるよう、後押ししてくれているのだと実感しました。
関係くださった全ての方々へ感謝申し上げます。