テーマ1 ママの医療

【第29回】脳腫瘍の増大

死にたい・しんどい

5日間の放射線治療後から3日が経過しています。
しんどさが軽減するどころか、明らかに症状が後退しています。

呂律が回りにくく、右手の動きが悪くなっていました。
右腕が痛いと言い始めました。
この症状は、船上での体調変化の兆候と同じです。
いわゆる脳浮腫が起こっていることを意味します。

CT検査の結果、脳腫瘍が拡大していたのです。
九州の撮影から3週間で、また脳腫瘍が大きくなっていました。
約5センチの腫瘍が頭の中を圧迫している症状でした。

5日ほど食事は食べてれいません。
今や、ベッドから起き上がることもできず、下肢筋力がありません。
端座位もできません。

「なんで、こんなにしんどいかな」
「もう死にたい」

またもや想定外

これは、放射線の副作用とは違い、脳腫瘍の拡大の結果です。
先生からは、終末期の迎え方についてお話がありました。
積極的治療はしないという、母の思いを伝えました。

母は、以前から自分の意向を書き記しています。
父親を見送る時も、自分の最期の選択を私たち娘に繰り返していました。
痛みを取る、苦しみを取るための治療だけ行い、自然に任せて欲しいということです。

そのため、先生には、一点の迷いもなく、母の選択を尊重することを伝えました。
父を見送る時と同じです。
どうしようもなく寂しいけど、お互い大事にしたいところです。

このような状態でも家に帰れるのか?
私は、まだこの望みは捨てていません。

しかし、脳腫瘍増大の影響が大きければ、年末まで持つかさえ分かりません。
そのため先生もDNR(蘇生処置拒否)の意向の確認をされたのです。

【第30回】帰れるとしたら今