テーマ1 ママの医療

【第2回】大学病院初診と今後

お久しぶりです

5日前にメラノーマの告知を受け、本日は紹介された大学病院皮ふ科の初診日です。

土日を挟んだ最短での受診です。
そのため、私たち3人は、何時間待たされてもありがたいと思い待っていました。
受付から2時間以上が経過したころ、診察室へ呼ばれました。

先生が自己紹介してくださいました。
「実は、10年前、足の踵で気になると再受診されましたよね?その際に対応させていただきました」
「あの時は再発でもなんでもなく良かったですね」
母の表情が少し和らぎます。

特殊なケース

「クリニックからの紹介状を拝見し、当時の記録も読み返していました」
「今回は、メラノーマが消化器にできる稀なケースだと思われます」

「以前のガンは20年以上前、転移しているかと言われると難しいところです」
「ん〜リンパ節転移では無いでしょう、鼠蹊部のリンパ節が腫れた訳でもありませんしね」
「後は血行性転移が考えられます」
「20年が経過して大変珍しいです、年齢とともに抵抗力が低下することで起こってくる可能性があります」

「消化器に出現とは、珍しいですが、無いわけではありません」
「肺ガンも原発性(通常のガン)もあり得ますが、この流れからメラノーマの転移と考える方が自然です」
「予約いただいたPET検査の結果で明らかになりますが、治療方法は化学療法が妥当かと思います」
「オプシーボと言われる免疫療法です」

「先生、私治療したくないの」と突然言葉を発した母。

「そうなんですね」

「はい、せっかく今、元気なのに、しんどくて長生きするなら、このままの方がいいような」

「そうですか、実は20年前、メラノーマに効く治療方法はなかったのですが、今は一定の効果がると、免疫療法が認められています」
「一般の化学療法とは違う治療方法です」
「一般の化学療法は、元気な細胞も含めて滅殺してしまうので、おっしゃられていることが起こりやすいです」
「ただこの免疫療法は、自分の免疫を高めるよう働きかける治療なので、脱毛などをはじめ、イメージしているのとは少し違うものです」
「4週間ごと、通院しながらの点滴治療で、それ以外は普段の生活が送れます」
「もちろん、副作用もあります、そのため治療をしながら経過を見ていきます」

「先生、やらなければ、どうなるんですか」

「やならいと、それなりに進行すると思います」
「確かに、それでもと治療をしないという選択肢もあります」
「ただ、懸念されているような治療ではなく、一度やってみる値打ちはあるとは思います」
「今、お元気で過ごされているからこそ、免疫治療という可能性から考えると、もったいない気がします」

それぞれの複雑な思い

明らかに、治療の値打ちがあると考える、家族や先生。
一方で、今の生活の質が落ちるなら選択したくないという母。

母の立場を尊重する、無理には進めない、そう決めて臨んだ診察でした。
ひたすら先生の話を聞きながら、治療を途中で中断することも可能である点を質問しました。
要するに、行って戻っての治療ができるのかを確認したかったのです。
生活の質を落とさない、でも、抗がん剤とは違う治療なので望みをかけたい。
これが、私たち娘が望む着地点でした。

後は、母の気持ちの変化を見守るしかありません。
先の将来を、どのくらいの長さで受け止めるのか、母にしか分かりません。
共通の望みは「笑って過ごせる時間を大切にしたい」です。
私たちが傍にいます。