テーマ1 ママの医療
【第25回】放射線療法が始まる
少し前身
現在の病院でも、同じ治療が継続します。
点滴と内服薬で、少しづつ良くなってきています。
麻痺の右腕が脱臼するかと思うくらいブラブラしていました。
今は、少しだけ腕が持ち上がるようになっています。
右側のことをどうしても忘れがちになります。
そのため、ベッドに横になる時も、ゴロンとすると右腕が背中に敷かれてしまいます。
リハビリの先生からは、右を見て、右側に腕があることを確認して寝るようにとのことです。
「はい」
「褒められると、がんばれます」
いつもの笑顔で対話しています。
母の気持ち
「パパと同じになっちゃった」
「もう少し時間があると思ってたのに」
現実を受け入れつつも、心の声を吐露する母です。
「そうね」
「退院したら、また旅行行くよ」
「うん、行きたい」
現実が変えられないなら、今歩みを止める意味は1ミリもありません。
なぜ治療しているのか
なぜリハビリしているのか
なぜ笑顔になれるのか
普遍的なことは、今この瞬間でも幸せを求めていい、それは本人を含め私たち次第だということです。
放射線療法
全能照射4×5回がスタートしました。
一般のがんと違い、メラノーマ起因なら効果はそれほど期待できないかもしれません。
しかし、腫瘍そのものを減少させる治療はこれしかありません。
どちらにしても、チャンレンジする意味はあります。
副作用として脱毛は避けれらないが、照射量が高くないため、吐き気や体調不良に至るかは別問題です。
母
「脱毛は全く気にならないねん、むしろスキンヘッドでいいよ」
「かっこいい気もする」
「可愛い帽子を買いにいきたいわ」
「そうね」
「○○ちゃんに、スキンヘッドにアートを描いてもらうかぁ」
「それもいいな」
「すごくしんどくなければやってもいいなぁ」
「ただ、美味しいものも食べれなくなるのは嫌やなぁ」
「でも、少しでもあなたたちと一緒いれる時間が欲しい」
そう言って、治療を承諾しました。
私たちのために、チャレンジをしてくれたのです。
父もそうでしたが、人生ここから先の時間は、家族の納得に時間をくれるのだと感じました。
親と子の愛おしい時間です。