納得のいく答えの導き方

利用者のB様(女性)は、歩行が不安定で転倒リスクが高く歩行時には見守りが必要な方でしたが、幾度が居室で転倒されており、今回はベッドとリビングの椅子の2か所に離床センサーを設置することにしました。
起き上がりや立ち上がりも頻回で、夜間も眠りが浅く何度もセンサーが鳴っている状態です。ただ不穏な状態になることはなく、フロアを一周したり、トイレに行ったりするとベッドや椅子に戻られるタイプの方です。

しかし夜勤は一人勤務のため、コールが鳴ってもすぐに行けず、訪室した時にはすでに部屋から出ようとされていることも多々あります。今のところ転倒事故は発生していない状態です。
ある職員が、このような状態では意味がないのでB様の離床サンサーを外してはどうかと提案、これを受けてカンファレンスが開催されました。

×:強い主張が通るケース

センサーを外すことを提案してきた職員に理由を聞くと「センサーのコールが頻回で対応が大変である。」「利用者はB様だけではないため、つきっきりにはなれない。」「特に夜勤は一人で大変で、コールが頻回でうるさい」など、職員主体の意見ばかりでした。
さらに、その職員が声を荒げて発言するため、他職員は何も言えなくなってしまったのです。
結局、「最近は転倒事故も起こっていないため、外しても大丈夫ではないか」という事で離床センサーは外される事になったのです。

○:集団で考えられたケース

リーダーは、センサーを外した時のリスクがどれくらいあるのかを知っています。いきなりカンファレンスを行うと、声の大きい人の意見だけが通ってしまう事を懸念し、全職員にアンケートを実施しました。
アンケートには、「最近、夜間部屋から出てくると他の人の部屋に入ってしまうことがある」などの新たな情報があり、センサーを外すのであれば転倒とは別の対策も必要であることがわかりました。また「転倒事故は起こっていないが、ふらつきはある」との意見も多かったのです。
カンファレンスでは、アンケートの結果を報告し、頻回なコールで職員の負担になっている点について意見を求めると、「コールは頻回で大変な時もあるが、それほどの負担ではない」「それよりセンサーを外してしまう方が心配」と言う意見が挙がり、その意見を聞いた他職員もうなづき同感していました。

結局カンファレンスの結果は、今後本当に必要ないと判断できれば外していく方向として、今はその時期ではないため、引き続き使用していく事になりました。また、センサーを使用せずとも問題が解決できそうな良いアイデアがあれば提案し、再度カンファレンスを開催していくこととになったのです。