多職種連携 (リーダー)

介護職員は、ユニットケアの趣旨のもと、入居者の生活リズムに合わせて無理に起こすことはせず、朝食が食べられなかった時には、個人持ちのパンやおやつを食べてもらっていました。施設は食中毒の関係で、食事の取り置きは、調理後2時間以内と定められています。

入居者B様は、早起きが苦手で朝食に間に合わず食べられない状態が続きました。B様は、夜間眠れない周期と眠れる周期が繰り返えされ、介護職員は周期リズムに合わせて生活スタイルを尊重してきました。そのため、提供される朝食を食べない周期もありますが、体重チェックを欠かさず行っており、B様の体重に変わりはありませんでした。

そんなある日看護師は、朝食が食べられないことを問題と捉え「今後は7時には必ず起こし朝食を食べてもらうように!」と伝えてきたのです。

× : 連携が取れていないケース

それを言われた現場リーダーは、一方的過ぎる事に「現場の状況を聞かず、いくら看護師の指示でも納得できない」と看護師へ訴えたのです。
看護師は「毎回朝食が食べられない事は、健康管理上に問題が出てくるから言っているのに、なぜ指示に従わないの」と返してきました。

○:連携が取れているケース

それを言われた現場リーダーは、管理者へ相談し臨時カンファレンスの開催を提案しました。このケースに関しては、医療だけでなく生活リズムや日常の関わりを含め、多職種で方向性を決めていきたいと思ったからです。

管理者はリーダーに、「会議の参加者に、介護職員としてB様にとってベストだと考えている生活リズムとその理由を理解してもらうことが大切ですよ。そのため会議では精神論だけでなく、B様の周期リズムや体重の変化データを基に自分達の根拠を伝えてみなさい」とアドバイスしました。
どの職種もそれぞれ思いがあり、自分達が一番理解しているつもりでいるものですよと。

現場リーダーは、これまでの介護記録、周期リズム、体重の変化をまとめた資料を使い、カンファレンスで説明しました。その話を聞いた看護師は、単に流れに任せているだけでなく、根拠を持って判断している事を知り、これまで通りの関わりに納得しました。相談員やケアマネからも無理がない対応との意見でした。
看護師は、「体重を含めいつもと違う変化に気づいたら報告してください、その時もう一度考えていきましょう」と伝えました。介護職員は、看護師がいてくれて頼りになる事、根拠あるケアの重要性を改めて実感したのです。