入居者の心理

認知症で転倒リスクの高い女性利用者A様には、ベッドサイドに立ち上がりを知らせるセンサーが設置してあります。A様が繰り返し立ち上がる為、センサーが頻回に鳴り続けています。近くの男性利用者B様が「うるさい!」と言われ、女性利用者を叩いてしまいました。B様は、日頃から気分にムラがあり、怒鳴ったり職員に暴言をはくこともありました。
急遽カンファレンスを開催し、B様の暴力行為に対する対策が検討されました。

× : 表面的な対策

カンファレンスでは、暴力行為が見られる時は落ち着くまで、他の利用者から引き離す・落ち着くまでは職員が1人ついて対応するなどの対策が出ました。

○:根本的な対策

臨時で出席した管理者は「なぜ叩いてしまったと思われますか?」と問いました。叩く行為を引き起こした原因が分からなければ、表面的な対策に留まってしまうからです。

一人の職員は、「普段から気分にムラがある人だから」と。
別の職員は、「でも、怒鳴りはするが人に手を上げたのは初めてですね」と。
ある職員は、「私も怒鳴られるが、説明すれば理解はしてくれます」と。
次の職員は、「今思うと、センサーにイライラしている雰囲気もあったような」。
他の職員は、「事情を説明したら私達が怒鳴られても叩くことは無かったかも」。
現場リーダーは、「それにセンサーに頼る時間を減らす工夫も必要かと思います。リビングで過ごされる様子や繰り返し声をかける事で新たな発見があるかもしれません」。
考える角度を変えることで、発生の前段階に目を向けることが出来たのです。