テーマ1 ママの医療
【第22回】クルージング旅行(医務室編)
次のアクションに備えて
落ち着いたところで、妹にLINE電話します。
現状を伝え、LINEビデオで母の様子を共有します。
これまでの概要を説明します。
見てとれる変化は2日前。
昨夜からの様子を見ていると、最終日に東京の港から大阪に帰れないかも、と感じたことを伝えました。
どちらにしても、現場から脱しなければいけません。
様々な想定をします。
本日が船中移動で、明日はチェジュ島です。
この状態で救急搬送を考えた場合、 寄港かヘリコプターしかありません。
予定外の寄港はあり得ないと推測。
ヘリコプターによる搬送か、明日のチェジュ島か、明後日の鹿児島か。
想定を固めていきます。
特殊な救急搬送の経験
私は経験上、このような特殊な救急搬送は3回目になります。
1度は、ヘリで救急搬送された父への対応です。
ある日突然、田舎の病院から電話が入りました。
日帰りだった予定の父が、救急搬送され「迎えにこれますか」の問い合わせです。
車を飛ばして4時間、その日に父を連れて帰りました。
1度は、ロシア在住の妹をロシアの病院から、日本の病院への搬送同行です。
全身火傷をした妹からのSOSです。
本来1週間以上かかるはずのビザ取得ですが、早いルートで手配し、3日後には日本を離れました。
この時大変だったのは、日本の受け入れ先の病院を私が見つけないといけなかったことです。
普段日本にいない、通院したことがない、妹はいわゆる初診患者です。
診察もしていない初診患者を、いきなり入院受けしてもらうのは至難の技です。
しかも、情報ときたら、電話越しの話だけです。
一刻をあらそい、本日中の確定が必要です。
時間は16時過ぎ、どの病院も外来電話が通じるのは17時までです。
火傷の治療のため、それなりに信頼のおける大きな病院でないといけません。
いくつなの病院の代表電話にかけて、皮膚科に回してもらい、電話越しの交渉です。
まさに、熱心な思いが通じた瞬間でした。
メディカルセンター(医務室)へ連絡
船のメディカルセンターへ連絡する準備に入ります。
スタッフは、基本外国人です。
「寒気がする」
体温を測ると、37.9度、また熱が上がってきました。
行動を起こすことにします。
フロントに電話すると、医療スタッフが居室に訪問すると料金が高くなることが告げられます。
どちらにしても、動けないので訪問を希望ました。
外国人の男性看護師と、日本人の女性看護師が駆けつけてくれました。
朝トイレに行って、足がもつれて倒れた際、右側頭を強く打撲したこと。
2日前から体調に変化がおきたこと。
血圧、脂質異常症の内服薬服用し血圧のコントロールはできていること。
メラノーマによる治療を受けていることなどを伝えます。
点滴ラインを確保し、ストレッチャーで医療センターへ運ばれました。
船内で実施可能なレントゲン検査と血液検査を実施し、医師からの説明を受けます。
チェジュ島に向かっており、境界域を超える前に救急ヘリでの搬送となりました。