多職種連携(職員)

身のまわりの事は自立していた入居者A様ですが、食事が摂れなくなりレベル低下が見られ入院に至りました。2週間後退院された時は、車椅子でも座位が保てないほど筋力が落ち、言葉を発することなくほぼ寝たきりの状態でした。
家族としては、「トイレで排泄できるくらい快復して欲しい」と望まれています。

退院後1週間、現場職員はケアプランにそって、車椅子で過ごす時間を増やすなど計画的にアプローチしてきました。そのおかげで、声掛けに対する返答が明確になり、手足の力が戻ってきている手ごたえを感じていました。現場としては、そろそろ介助でトイレ排泄をしてもらっても良い時期だと考え、担当介護職員が、機能訓練指導員に介助方法を教えてもらいたい旨をリーダーに伝えました。

担当介護職員は、機能訓練指導員へ、「A様が回復してきているので、トイレでの排泄介助の方法を教えてほしい」と依頼したところ、「そんなことは無理だ」と否定的な反応が返ってきました。

×:連携が取れていないケース

現場担当が、「どうして無理だと決めつけるの?それって機能訓練指導員の仕事じゃないのですか?」と訴えると、機能訓練指導員は「A様のレベルだと出来ないと思う」とムキになり話は平行線です。

○:連携が取れているケース

現場担当者は、「リハビリは確かに機能訓練指導員の仕事ですが、A様の現状を一番理解しているのは日々介護に携わっている私達だと思っています。方法を教えてくださいと丸投げするつもりはなく、考えることに加わって頂き、私たちの気づきに専門的なアドバイスを頂ければと思います」と伝えました。

現場担当者は、機能訓練指導員にA様の現在の状況を伝えるべく、トイレでの排泄を見に来てもらいました。そこで機能訓練指導員は、A様の状況を確認し、1人で介助する事が無理な理由を丁寧に伝えたのです。
現場にいたスタッフも納得し、「それなら2名介助ではどうだろう?」という意見に、機能訓練指導員もそれならと、2名介助を実践させつつ技術指導を施しました。
しばらく両者における申し送りが密にされ、トレイ介助が定着していったのです。