知らないだけで助けられてる

夕方出かけようと家を出たところ、近所の一人暮らしの年配女性の方(80歳前半の田中さん)が首にタオルを巻いて、額に汗して一生懸命にご自分の家の前のドブ掃除をされていました。
いつも綺麗に並んでいる植木鉢を全部横に移動してのちょっとした大掛かりなお仕事です。

私が「こんにちは」と声をかけると笑顔で「今からお出かけ?」といつもの挨拶が交わされます。

「ドブ掃除ですか?大掛かりですね」と話しかけると次のような答えが返ってきました。

「明日自治会で一斉にドブ掃除をやる日でしょう?
でも私はやるのがとても遅くて自分の家の前で精一杯。
その後皆で協力してやる共同エリアまでとても参加できないの。
だから日が落ちてちょっと涼しくなった今からここだけやっておいたら、明日はお手伝い出来ると思ってね」

それを聞いた私は、改めて地域コミュニテイーの輪の中でしっかりお世話にないっているんだと考えさせられました。

私も含め、朝早く家を出て、遅く帰ってくる働き世代。
自分で生活している気になっているけれど、目に見えない形で色々な方の関わりがあって生活が成り立っているんだと思わされます。

そういえば他にも・・・
朝早く出勤すると必ず集会所の草木に水を巻いていらっしゃいます。
急に雨が降ってくると呼び鈴を鳴らして下さり、何度洗濯物や布団が濡れずに助かったことか。

この方だけではありません。
先日台風がさった早朝には、脚立を支える人、乗る人、指示する人が声をかけあって何かされています。
前日の台風で電灯カバーが落ちかけているのを危ないからと声をかけあって取り除いていらっしゃたのです。

「隣の人は何する人ぞ」と無関心な人が多い世の中にあって、地域の輪のありがたさを感じました。
ご年配の方にしたら、私達がいるだけで安心するのだという事です。

決して恩着せがましく言われず、まるで自分達の仕事のようにもくもくと地域行事をこなしてくださっている皆さんに何がお返しできるんだろうと考えさせられた瞬間でした。

私が今できることそれは・・・
困ったことがあったその時に「ちょっと来て」と言ってもらえる関係作りの構築だと思いました。
いざという時に声をかけてもらえるよう、普段のちょっとした挨拶を意識してみようと思いました。

そして当然、ドブ掃除をしている田中さんに、「お疲れさまです」ではなく「ありがとうございます」と頭を下げている私がいました。

感謝!